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書痙と漢方薬

書痙とは

 書痙とは主に字を書く時に、ペンを持った手に痙攣(けいれん)が起こったり、自身では意図していないのに手が硬直(こうちょく)してしまいペンがうまく持てなくなる病気です。
 書痙の特徴としては文字を書くことのみが困難になり、それ以外の細かい作業は問題なく行える点です。例えばお箸を使って食事をする、キーボードを扱う、携帯電話を操作する、服のボタンをかけるなどの動作は問題なく行える場合が多いです。
 書痙の症状には幾つかの種類があります。例えば人前でサインをする時のみ症状が出る方、絶えず文字を書くことが困難な方、親しい間柄の人前なら症状はあまり出ない方など多岐に渡ります。
 しかしながら、書痙を発症する方にはやや固定的な特徴があります。
 性格的にとてもまじめで仕事熱心(または勉強熱心)、完璧主義、そして第三者の目を気にしやすく、精神的にデリケートな傾向があります。
 他にも職業柄や生活環境において字を書くことが多い文筆家、教師、学生などに発症しやすいといわれています。
 書痙は狭義では「文字を書くことが困難になる病気」ですが、人によっては「バイオリンを演奏することだけが困難になる」「ピアノを弾くときだけが困難になる」「お客さんにお茶を出す時だけ異常に手が震える」「特定の実験器具を扱うときだけ手が硬直する」などの症状が現れることもあります。
 つまり広い意味で書痙は「特定の動作をする時のみに痙攣が起こったり、過剰な力が入ってその動作を行うのが困難になる病気」といえます。


治療法と治療薬

 現在、西洋医学的な新薬において、書痙の特効薬は存在しません。
 しかし、書痙が心理的な側面から発症している傾向があるために抗不安薬や薬物療法と心理療法を併用されることが多いです。
 抗不安薬はベンゾジアゼピン系抗不安薬、その他にSSRI、SNRIと呼ばれる比較的新しい抗不安薬も使用されます。これらの薬物は比較的、副作用が少ないとされていますが眠気やふらつき、吐き気や食欲不振などが現れる場合もあります。


漢方薬治療

 漢方薬の得意とする分野です。生活態度、心の持ち方、気分転換、養生を心がけられると良い結果がでます。漢方医学的には精神的ストレスが重なると肝(かん)に負担をかけ、肝が調節している筋肉や目、そして気(き)の巡らしがうまく出来ず、多彩な症状が現れるとされています。
(ここで登場する「肝」は現代医学で云う肝臓ではなく、あくまでも漢方医学上の肝という専門用語と捉えて下さい。)
 肝の機能低下によって、その支配下にある筋肉や目もうまく機能しなくなり、その結果として書痙やチックの様な症状が発症すると考えられます。そして気の巡らしも滞ることから、不安感、イライラ、動悸、吐き気、喉や胸の圧迫感などの症状も現れやすくなります。
 漢方薬はこの肝の本来の働きを助ける生薬を中心に含んだものが用いられます。それ以外にも筋肉の緊張をほぐす生薬、気分を鎮める生薬など、その人の症状に合った漢方薬を調合します。漢方薬の場合は西洋薬の抗不安薬が持つ副作用は無く、それらと併用しても服用できます。
 もともと書痙を発症する人は精神的なストレスに敏感なデリケートな方が多いと言われています。
 漢方薬は中長期的に服用することで、書痙の症状改善・再発防止だけではなく、ストレスに強い心身を作ることの手助けにもなります。

多くの漢方薬処方があります。主に用いられる生薬は

葛根 桂枝 厚朴 当帰 川芎 茯苓 柴胡 麻黄 芍薬 甘草 釣藤 白朮 半夏 竜骨 黄芩 生姜 大棗 大黄

などの薬草を含む処方を、各人の症状、病歴、体質、体力、進行状況により、多く処方から選定しますので自己判断で処方を決める事をしないで、漢方薬に精通した薬剤師に相談して処方を選び服用する様になさる事をお薦めします。

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