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女性の病気
【主訴とプロフィール】
【経過】
母親が最近、娘に生理が来ていないことを知り当薬局に親子で来局。婦人科を受診することを勧めつつ漢方薬の処方を行った。お母様いわく「可能な限りホルモン剤とかではなく、漢方薬で治したい」とのこと。
娘さんのお話を伺うとやや太めの体形を気にしてダイエットを行って目標体重には達したが、生理もその頃から途絶えたという。足のむくみも気になっており、手足の冷えも深刻であった。食欲もあまり無く、食事はあまり摂っていない。
漢方医学では血は気からつくられるものであり、気は食物からつくられることを説明し、バランスのとれた食事の徹底をお母様にお願いした。漢方薬もまず、食欲を増して体力をつける人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、甘草(かんぞう)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
服用から3ヵ月が経過した頃には食事への抵抗感も薄くなり食べる量も増えてきた。しかしながら、まだ生理は来ていなかった。これを受けて今度は血を生み出す当帰(とうき)や地黄(じおう)から構成される漢方薬に変更した。服用から数ヵ月が過ぎた頃、ちょうど冬を迎えたがそれほど寒さは気にならないとのこと。むくみも消えていた。おそらく充実してきた気が水の動きを活性化させた結果と考えられた。そしてさらに半年が経過した頃にようやく生理が再開した。この方には現在も同じ漢方薬を継続服用して頂いている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
高校生の頃から生理出血が多くて悩まされていたとのことで当薬局に来局された。第一印象としては色白ではあったが、お話を伺うと食欲などもありしっかり食事も摂っていた。しかしながら、資格取得試験や仕事で多忙のためにここ数年間は疲れがとれないとのこと。
この方には過労から気が不足し、そこから生み出される血も一緒に不足していると推測して、血を生み出す地黄(じおう)、止血効果のある艾葉(がいよう)から構成される漢方薬を服用して頂いた。そして、数ヵ月間は過剰な仕事を少々減らして頂くようお願いした。
服用から3ヵ月が経過する頃の生理では出血量も減り、貧血による立ちくらみなども出なくなった。それから継続的に服用をして頂き、現在は疲労感も無くなり、生理も軽く順調になった。
【主訴とプロフィール】
【経過】
生理の前になると左下腹部に激痛が走り、しばしば大学の講義を休むことがあり、困り果てて大学のそばにある当薬局に来局された。体力的には充実しており体育会系のサークルにも所属しているとのこと。舌の裏を見せて頂くと紫がかった2本のはっきりとした静脈が見えた。
この方は血の滞りから気の流れまでも阻害され、その結果として痛みが生まれていると考え、血の流れを促進する桃仁(とうにん)や牡丹皮(ぼたんぴ)から構成される漢方薬を服用して頂いた。
服用から1ヵ月が経過すると「サークルの練習後もあざができない」と喜ばれた。これを血の流れが改善してきた兆しと考え、そのまま数ヵ月間は継続服用して頂くことにした。そしてさらに4ヵ月くらいが経過した頃には生理痛も無くなり、やや黒味が掛った顔色も健康色に変わっていた。この方は現在も「お肌の漢方薬」として継続服用されている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
5年前に結婚して順調な夫婦生活があったが妊娠できず悩み出した頃、漢方薬を思いつき来局された。色白で細身の第一印象、ご本人も「冷え症で疲れやすく、家事と仕事で大変」とのこと。その他にも貧血・めまい・立ちくらみ・頭痛などにも悩まされており、かなり疲労が溜まっている印象であった。
この方は気の不足から身体を温められず、疲労がそれに拍車をかけて多彩な症状が出ていると考えた。そこで気を補う人参(にんじん)、血を補う当帰(とうき)、身体を温める細辛(さいしん)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
服用から数ヵ月間はなかなか身体に変化がみられなかったが、4ヵ月くらいが経過した頃には疲労感や冷えはだいぶ落ち着いてきた。この頃から生殖機能を司る腎気を増す生薬の地黄(じおう)を加えるようにした。それからさらに数ヵ月が経過したときに妊娠の報告が入った。現在は薬味を少々変更して漢方薬の服用を継続している。これは妊娠しずらい方は流産しやすいということを考慮しての判断であり、特に妊娠中毒症などのトラブルも無く過ごせている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
数年間、不妊症専門のクリニックで治療を行っているがうまくいかず、疲れ果てた末にそこでの治療を中止。そのようなときにフッと通りすがりに来局された。検査の結果、卵子の状態がおもわしくないという。生理周期も不安定で、高温期が見出せなかった。ご主人様には特に問題はなかったとのこと。印象としては若干の抑うつ傾向と身体全体から生気を感じない。おそらく、治療によるストレスがたたったものと推測された。
この方にはまず、ストレスを緩和して気の流れを円滑にする柴胡(さいこ)、気を増す人参(にんじん)と白朮(びゃくじゅつ)から構成される漢方薬を服用して頂いた。
服用から数ヵ月経過して、落ち込みや寝つきの悪さが徐々に良くなってきたとのこと。笑みもみられるようになった。良い傾向だと思い同じ漢方薬を服用して頂いた。服用から半年経った頃には乱れがちであった生理も30〜35日周期に落ち着いてきたが、高温期は依然として現れない。そこで、生殖機能を司る腎気を増す力が強い鹿茸(ろくじょう)を併用して頂くことにした。それから数ヵ月後、「また生理周期が乱れたかと思ったら妊娠していました」という報告を頂いた。現在はやや悪阻(つわり)やむくみがつらいということでそれに対応する漢方薬に変更して服用を継続して頂いている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
若い頃から冬になると手足が痛いくらい冷え、しばしばしもやけができていた。それが最近は一層ひどくなり年中冷えを感じるようになってしまい、困り果てて来局した。くわしくお話を伺うと、以前から胃腸虚弱・生理不順・貧血なども患っていることがわかった。
この方の場合、気の絶対量が不足しておりそれが原因で血をめぐらすことができなくなっていると考えた。そこでまず、胃腸の力をつける人参(にんじん)、身体を温める乾姜(かんきょう)、細辛(さいしん)、さらに血の不足傾向もあったので当帰(とうき)、牡丹皮(ぼたんぴ)などから構成される漢方薬を調合した。
服用から2ヵ月が経過した頃には血色が良くなりふらつくことも少なくなったという。さらに3ヵ月が経つと体幹だけではなく四肢にも熱感を感じてきた。食欲も出てきたので体重も増加したが、それは良い傾向でありそもそも痩せ体型だったので問題なく、ダイエットの必要はないと説明した。その後、体調が良くなったので断続的な服用が続いたが、冬になっても以前のような痛みを伴う冷えやしもやけはできていないとのこと。
【主訴とプロフィール】
【経過】
数年前に閉経した頃から日常的なイライラ感に悩まされており、家族にあたることも多くなったと感じていた。その他にも強い熱感を伴うのぼせ・不眠・発汗過多・下腹部痛なども気になるとのこと。日頃から当薬局で便秘薬を購入していたことをきっかけに漢方薬を服用しようと決めた。
この症状は気の流れが阻害され、悪い熱が身体を覆っていると考え、それらに対応する漢方薬を調合した。具体的には気の流れを整える柴胡(さいこ)、熱を清める黄連(おうれん)、牡丹皮(ぼたんぴ)、山梔子(さんしし)、黄柏(おうばく)などから構成される漢方薬であった。
服用して2ヵ月程度が経過した頃からイライラ感と熱感が落ち着いてきたのを感じてきたとのこと。同じ漢方薬で継続することを決め、さらに3ヵ月が経つとほとんどの不快症状は消失した。しかしながら、下腹部痛だけが残っており、これを血の停滞によるものと判断して桃仁(とうにん)や紅花(こうか)などを含む漢方薬に変更した。それから3ヵ月が経過すると、まったく下腹部痛も気にならなくなり漢方薬を卒業した。現在も便秘薬だけを購入するために来局されるが体調はとても良いとのこと。
【主訴とプロフィール】
【経過】
大学生の頃から生理不順で、社会人になってからは強烈な生理痛にも悩まされ始めた。心配になって婦人科を受診すると直径約5cmの子宮筋腫が発見された。問題の子宮筋腫は手術によって取り除いたが、それ以外にも切除困難な小さい筋腫がいくつか残っている。以前から漢方薬に興味があり、当薬局に来局された。
お話を伺うと子宮筋腫や生理痛以外にも不正出血や貧血による立ちくらみも気になっているとのこと。この方は血の滞りである血瘀(おけつ)が原因で気の流れまでもせき止められ痛みが起こっていると考えられた。そこで芍薬(しゃくやく)、牡丹皮(ぼたんぴ)、紅花(こうか)などの血の流れを改善する生薬にくわえて痛みを抑える働きがある延胡索(えんごさく)を加えた漢方薬を服用して頂いた。
服用から3ヵ月が経過した頃には生理周期が安定して痛みもだいぶ緩和したとおっしゃられていた。しかし、まだ出血がしばしばあるということで血を補う地黄(じおう)、当帰(とうき)、出血を抑える艾葉(がいよう)などから構成される漢方薬を併用して頂くことにした。そうしてまた4ヵ月が経つ頃には不正出血はおさまり、それに伴って貧血傾向も改善された。問題であった子宮筋腫も大きくなることなく安定しており、痛みもすっかり無くなったとのこと。この方は再発予防の意味合いで漢方薬の服用を継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
昔から足がむくみやすくて困っていたが、加齢とともにその症状が顕著なものになってきた。レジ打ちのパート中は立ちっぱなしで、仕事の後はパンパンに足がむくんでしまうという。日常的に祖母の漢方薬を当薬局で購入していた縁で漢方薬を服用することになった。
この方は訴えの通り、下肢を中心としたむくみがあり、それ以外にも日常的に疲労感がとれないという。顔色も決して良いとはいえず、全体的に弱々しい雰囲気であった。まず、水の代謝を促進する茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、蒼朮(そうじゅつ)などから構成される漢方薬を服用して頂き、ひどいむくみを除去することにした。
漢方薬を服用し始めてから約2ヵ月が経過した頃には靴下の跡がクッキリと残るようなことはなくなったという。しかしながら、まだむくみの症状は完全には消えていなかった。そこで、水の流れの滞りはそれを動かす気の不足と考え、気を補う人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、大棗(たいそう)などを中心とする漢方薬に切り替えた。その漢方薬を服用し始めてから3ヵ月が経った頃には疲労感を覚えることも減り、仕事をこなすのが楽になったと喜ばれた。課題であったむくみも夏場の湿度が高いときなどを除けば困ることはほとんどなくなったという。顔色も良くなったが、現在はとても疲れたときにむくみが出やすいということで不定期ながら漢方薬の服用は続いている。
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男性の病気
【主訴とプロフィール】
【経過】
結婚して3年が経過したが子宝に恵まれず、妻と共に不妊症専門のクリニックを受診した。結果はご主人様の精子の運動がやや鈍いという結果であった。そのクリニックでは治療は難しいといわれ、困っていたところ漢方薬の服用を思い立ち、当薬局に来局した。
くわしくお話を伺うと、少々、疲れやすく食欲もあまりないという。奥様もそのことについては以前から心配だったという。漢方医学において生殖機能とほぼ同義である腎気は後天的に食べ物から補給されるために、この方には消化器機能を向上させる漢方薬が必要と判断した。具体的には人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、甘草(かんぞう)などから構成される漢方薬である。
漢方薬を服用してから2ヵ月ほどが経過した頃には徐々に食欲がついてきて、顔色も以前より薄い朱色がかっていた。これらを受けて同じ漢方薬を根気強く継続服用して頂き、半年が経った頃に無事、奥様の妊娠がわかった。一区切りついたことで、こちらはこのまま漢方薬を「卒業」されるかと勝手に想像していた。しかし、人員削減などで仕事の負担が大きくなっているが、漢方薬を服用していると多少の無理がきくということで、時折、内容を変更しながら服用を継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
体力には自信があり税理士業を長く現役で営んでいるが、加齢とともに身体の冷え感が気になりだした。それにくわえて冬になると冷えは一層顕著なものになり、毎晩、トイレに何回も起きるようになってしまった。最初のうちはめんどくさいながらもあまり気にとめなかったということだったが、次第に睡眠不足気味となって仕事にも差し障りがでだしたので病院を受診。初めて前立腺肥大と診断された。病院で処方される薬でトイレの回数は減ってきたが、身体の冷えだけはどうにもならず当薬局に来局された。
この方は常々、冷えによる不快感を口にされていたので、それを目標に身体を温める効果の高い桂皮(けいひ)、附子(ぶし)、抗老化作用が期待できる地黄(じおう)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
漢方薬を服用されてから3ヵ月が経過した頃には下肢を中心に冷えが軽減してきたとのこと。まだトイレに立つことはしばしばであるが、身体がポカポカと温かくなったせいか眠りが深くなった気がするとおっしゃられた。その後も同じ漢方薬を継続服用して頂き、一回に出る尿の量が増した分、トイレの回数は夜間も含めて減ってきたという。その後は新たに出てきた腰痛や膝痛などの症状に対応する形で微調整を加えながら漢方薬を服用して頂いている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
数年前に結婚して特に問題なく夫婦生活も営んでいたが、ストレスの多い仕事を任されたことがきっかけでED(勃起不全)に陥ってしまった。病院を受診して治療薬も出されたが抵抗感が強く、当薬局に来局された。
くわしくお話を伺うと学校での仕事による精神的・肉体的ストレスが強い印象を受けた。それにくわえて食欲はあるということであったが、身体の冷えもあり線が細くて疲れている雰囲気であった。この方には精液を含む体液が身体から漏れ出すことを防ぐ働きがあり、気持ちを落ち着ける働きもある竜骨(りゅうこつ)、牡蠣(ぼれい)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
漢方薬を服用して3ヵ月程度が経過した頃には気持も鎮まり、やや早漏気味ではあるがまた夫婦生活が営めるようになったという。その反面、体力的につらいという訴えがあったので、気を補う人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、大棗(たいそう)などの生薬から構成される漢方薬に変更した。変更してから4ヵ月が経った頃には血色も良くなり、以前とまったく同じように夫婦生活が営めるようになったという。現在は疲労回復の漢方薬という意味合いで継続的に服用されている。
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チック症と書痙
【主訴とプロフィール】
【経過】
2年前から手の震えと硬直により字を書くことが困難になった。より具体的には、震えによって字がきれいに書けない、手の緊張によって徐々に字が小さくなってしまう、筆記自体に相当な時間がかかるなどの症状に悩まされはじめた。字を書くこと以外に実験器具やパソコンを操作することはできるという。大学病院を受診し、心療内科で精神安定剤を服用したが慢性的なめまいや眠気に悩まされ治療は中断した。
当薬局に来局した当時はさらに不眠症や強い肩凝りも発症していた。問診からは完璧主義・生真面目・責任感が強いといった一面が伺えた。これらの症状と体質の全体像から柴胡(さいこ)を中心とした気の流れをスムーズにする生薬と、芍薬(しゃくやく)や葛根(かっこん)などの筋肉の緊張を和らげる生薬から構成される漢方薬を服用して頂いた。
服用後、数ヵ月経つと筋肉の緊張が「前よりも本当に楽になった」とのこと。現在、自覚症状は少々残るものの、筆記スピードも上がり、字が小さくなってしまうことも少なくなった。「漢方薬を飲んでいると肩凝りも楽になり、睡眠も深くなった」ということで、今も漢方薬の服用を継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
息子様のチック症で悩んでいたというお母様が息子様と一緒に来局された。症状としてはまばたきと首を左右に振る動きであったが、それ以上に気になったのがお母様の状態であった。こちらが息子様に症状を伺うと、その答えが返ってくる前にお母様がササッと返答された。お母様いわく「中学校に進学して、友人との人間関係がうまくいかなかったのがチック症の原因だと思う」とのこと。それは冷静に語るというよりも強い焦燥感を帯びたものであり、息子様もやや緊張した雰囲気を感じた。
この様子からお母様の指摘が正しい部分もあると思うが、現在はお母様の姿自体もまたチック症の原因となってしまっている面があると感じられた。そこで、このケースの場合は息子様だけではなくお母様も一緒に気持ちを落ち着ける漢方薬を服用して頂くことにした。お母様にも漢方薬を勧めると、最初は怪訝な顔をされたが「母子同服(ぼしどうふく)」という言葉があることを伝えて納得して頂いた。「母子同服」は子供の病気を治すために同じ漢方薬を母親にも飲んでもらうという意味であり、まさにこのケースに合った治療法である。
漢方薬を服用しはじめてから3ヵ月が過ぎた頃になると、お母様も気持ちが落ち着いてきたようで「ついつい、症状が出るたびに注意していたが、今は静観することができるようになった」とのこと。息子様の方はまだ、まばたきや身体の動きはあるものの、かなりの改善を感じられた。これを良い傾向と捉えて、同じ漢方薬を継続して服用して頂くことにした。漢方薬をはじめて1年が経った頃には息子様の症状の大半は消失して、漢方薬は卒業となった。逆にお母様が「この漢方薬を服用しているとイライラしなくなる」ということで、現在も服用が継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
中学校受験対策の塾に通いだした頃から、両目をぱちぱちしだすようになった。それから首を左右に振る動きが目立ち始め、心配になったお母様が病院へ連れて行ったが、安定剤などの服用に不安を抱き来局された。娘様の様子を見てみるとお母さまが訴えられた通りの症状にくわえてややどもり気味の発声であった。
この症状から、塾通いの負担や環境の変化から五臓における肝の働きが失調してしまったと考えた。肝は気持ちや筋肉、目の働きをコントロールしているので、ダメージを受けるとチック症状が出やすい。まずは、ストレスを緩和する柴胡(さいこ)や枳実(きじつ)、筋肉の働きを整える芍薬(しゃくやく)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
服用から3カ月が経過した頃になると、目や身体を不規則に動かす場面が少なくなってきたとのこと。それからさらに数ヵ月経った頃には発声や時々見られた癇癪(かんしゃく)もまったく見られなくなった。お母様には油断せずに、積極的にスキンシップをとることをお願いしつつ、現在も漢方薬の服用を継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
息子様が私立の小学校に通いだした頃から、イライラ感を表に出すようになったのをお母様が感じ、心配になって当薬局に来局された。くわしくお話を伺うとそれ以外にもまばたき、肩の筋肉の緊張、じっとしていられないなどの典型的なチック症状が確認された。それと同時にお母様もご主人様の家事への非協力的な姿勢や息子様の状態に対してストレスを溜め込んでいる印象を受けた。
この子にはストレスを緩和し筋肉の緊張を取り除く漢方薬を服用して頂いたが、それと一緒にお母様にも同様に気持ちを落ち着ける漢方薬を服用して頂いた。これはしばしばみられる、息子様の症状に対してお母様がストレス感じ、息子様の方はイライラしたお母様を見てより不安感を抱くようになってしまう「負の連鎖」に陥るのを防ぐためである。最初の頃はお母様自身が漢方薬を服用されるのをためらわれたが、説得して服用して頂けることになった。
漢方薬を服用してから2ヵ月くらいが経過する頃になると、まずお母様のイライラ感が抜けてきた。「少しだけこの子の症状に対して余裕が持てるようになってきた」とのこと。これは良い傾向と考えて、同じ漢方薬を服用して頂くことにした。それと一緒にお母様には息子様の症状に対して過剰な反応や注意はしないようにお願いした。さらに数ヵ月が経過した頃には息子様の症状もたまに見られるまばたきくらいになり、ほとんどの症状は消失した。元気に学校にも通えているとのこと。この症状の根底には新しい学校へ適応する過程で生じていたストレスや、受験のプレッシャーから解放されたという面があったのかもしれない。お母様も表情はかなり柔和になられた印象を受ける。現在は二人とも漢方薬は服用量を減らしつつ、継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
バイオリンの演奏を生業として多忙な日々を送っていたが、ある日突然、指先が硬直して動かなくなり演奏できなくなってしまった。さまざまな病院・診療科をまわったが原因は分からず、精神安定剤や筋弛緩剤を服用しているが症状は治まらなかった。不思議とバイオリンの演奏以外の筆記やピアノの演奏などは可能で、他者に自身の症状を理解してもらえないことが二次的なストレスとなっていた。そんなときにコンサート会場に近かった当薬局にふらりと来局された。
この方のご症状は典型的な書痙の亜種と考えられた。漢方薬はストレスを緩和する柴胡(さいこ)や筋肉をリラックスさせる芍薬(しゃくやく)や葛根(かっこん)、痙攣などを静める釣藤鈎(ちょうとうこう)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
漢方薬を服用されてすぐに指先から首筋にかけて筋肉が柔らかくなった印象を受けたが、演奏ができるようにはならなかった。そこで無理は承知であったがバイオリン演奏から距離を置くことをお願いした。それから漢方薬の微調整を数回繰り返して半年以上が経過する頃になると、症状による焦燥感やイライラ感は静まってきた。そしてある日、無性にバイオリンが弾きたくなり、試しに弾いてみたところ以前とほとんど同じようにとてもスムーズに演奏できたとのこと。漢方薬を服用しだして丸2年ぐらいが経過した頃には発症前と変わらない演奏が可能となった。現在も「お守り代わりみたいなもの」として、さらに予防薬として漢方薬服用を継続している。
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皮膚の病気
【主訴とプロフィール】
【経過】
幼い頃から鼻炎や喘息を持病としており、現在は四肢の関節部分を中心とした乾燥を伴うアトピー性皮膚炎に悩まされていた。皮膚科に通って保湿剤とステロイド剤を処方されており、使用すると症状は落ち着くが根本的に体質改善したいと考え当薬局に来局された。
体格は中肉中背であるが、顔色が悪く黒ずんだ色をしていた。患部は赤みを伴い、かゆみも強く、寝ているうちに無意識にかきむしってしまうという。この方には潤いをつける生薬である地黄(じおう)、血の力を増し皮膚を栄養する当帰(とうき)、炎症を抑える黄芩(おうごん)、山梔子(さんしし)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。そして、患部には皮膚の再生作用を促進する紫根(しこん)を含む外用薬を塗って頂くことにした。それにくわえて、冷えた飲み物や食べ物・乳製品・糖分や脂肪分を多量に含んだものの摂取は控えるようお願いした。これは潤いをもたらす血や津液を生み出す脾胃の負担を軽減するためである。
漢方薬を服用して4ヵ月ぐらいが経過した頃、乾燥によって剥がれおちてしまう皮膚の面積が目に見えて小さくなってきた。かゆみも赤みの減退と一緒に軽減されてきたという。しかしながら、アトピー性皮膚炎は他の疾患以上に油断できないので、継続の服用をお願いした。それから真夏の時期に多く汗をかくなどして一時的に悪化したが、季節が落ち着いてくる頃には外見的にもご本人の主観的にも症状はかなり改善された。現在もかゆみが増せば荊芥(けいがい)や連翹(れんぎょう)、乾燥が進めば麦門冬(ばくもんどう)などを含む漢方薬に微調整を続けながら安定した状態を保っている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
昔から四肢の関節や首まわりにジュクジュクした湿疹ができやすく、特に夏場はひどくなる。皮膚科でステロイド剤を処方されていたが症状はなかなか緩和しなかった。仕事の営業活動で夏場も外に出ることが多く、汗をかくと症状は一層悪化した。疲労感や倦怠感も徐々に増して、このままでは仕事だけではなく日常生活にも支障が出ると悩み来局された。
皮膚の症状は典型的な湿潤を伴うアトピー性皮膚炎であり、症状も重かったため、根気強く生活改善と漢方薬の服用をお願いした。この方の場合、皮膚の状態は湿度が高くなると悪化することを受けて、身体における水のバランスを整えることに重点を置いた。それと同時にかゆみと皮膚表面に熱感を伴っているので、熱を抑えることも考慮する必要があった。そして、ストレスと皮膚は意外にも密接な関連性があるので睡眠時間の確保や過剰な労働は繁忙期を除いて控えて頂くようにした。食事も外食が多いということなので、外食でもできるだけ和食を摂るように伝えた。
患っている期間が長かった分、治療は難航したが服用から半年が経った頃には「服に血はつかなくなったし、かゆみも楽になった」とおっしゃっていただけた。ある程度、アトピー性皮膚炎の症状が沈静化してきた頃、胃腸が弱く元気がない点が病気の根本的な原因と定め、人参(にんじん)や黄耆(おうぎ)などから構成される漢方薬にスイッチしていった。これは脾胃から作られる気の不足がアトピー性皮膚炎としてあらわれたと考えられるからである。漢方薬に変化を加え出してからまた半年が経った頃にはジュクジュクしていた皮膚も湿潤を伴わない薄い皮膚に変わっていた。かゆみもピークの1/5程度だという。その後は皮膚を栄養する血などに重点を置いた漢方薬にシフトするなどして現在にいたっている。皮膚の抵抗力もついたためか毎年ひいていた風邪にもかからなくなったという。
【主訴とプロフィール】
【経過】
以前から乾燥肌ではあったがあまり気にせずに過ごしていたが、数年前の冬に強いかゆみにおそわれ皮膚科を受診。そこで初めてアトピー性皮膚炎と診断され、保湿を中心とした塗り薬が処方された。それからは真面目に保湿を行ってきたが、なかなか症状が落ち着かなかったので当薬局に来局された。
皮膚の状態は訴えの通り、乾燥肌ではあったが皮膚が脱落したりジュクジュクしたりするような外見的な異常はあまり感じられなかった。肌以外の症状としては貧血があるということであった。この方の症状は血が不足することによって起こる皮膚の栄養不足・潤い不足と考えて、血を補う当帰(とうき)、地黄(じおう)、何首烏(かしゅう)、かゆみを抑える蒺藜子(しつりし)、荊芥(けいがい)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
漢方薬を服用し始めて4ヵ月が経過する頃には皮膚のカサカサ感も薄らぎ、やや薄黒かった肌の色も薄いピンク色になっていた。そして、主問題であったかゆみも貧血による立ちくらみや頭重感と一緒にきれいに鎮まったという。現在は貧血防止・体力保持を目的として上記の漢方薬に微調節をくわえた形で継続的に服用を続けている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
高校生の頃からニキビが口周辺にでき始め、大学生になると口周辺だけではなく頭部や鼻の側面にも現れるようになった。皮膚科を受診して抗生物質とビタミンC製剤が処方されたが、なかなか改善されず、医師からホルモン剤を使用してみるかと言われ不安になり漢方薬の服用に思い立った。くわしくお話を伺うと学生時代から多忙で、食事や睡眠リズムは乱れがちという。外見的には訴えの通り、口や鼻周辺を中心に赤く炎症しているニキビと、頂点が白く化膿しているニキビが混在していた。
この方にはまず炎症を抑える生薬である黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)、山梔子(さんしし)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。くわえて、食事は和食を中心にして糖分や脂肪分が多いものは控えて頂くようにお願いした。さらにアルコール類やつらいものなどの刺激物は炎症を助長するので併せて控えてもらった。ニキビは食を中心とした生活習慣に密着していることが多いので、その見直しが非常に重要になる。
漢方薬服用から3ヵ月が経過した頃には自己主張していた赤いニキビはかなり減ってきていた。この方も熱心に食生活の見直しなどに協力して頂いたこともプラスに作用したと思われる。その一方で白く化膿したニキビが口の周辺に陣取っていたので、膿を出す効果に優れている桔梗(ききょう)、枳実(きじつ)などがから構成される漢方薬に変更を行った。ふたたび3ヵ月が過ぎた頃には白いニキビもほぼ消失し、ニキビの痕だけが少々残っている程度にまで落ち着いた。最後の仕上げに、皮膚の状態を整える薏苡仁(よくいにん)を服用して頂いてニキビ治療は終わった。この方は漢方薬の服用だけではなく、生活習慣の見直しなども貢献して良い結果が得られたと考えられる。
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メタボ関連の病気
【主訴とプロフィール】
【経過】
営業職ということもあり、接待や勤務時間の長さから食生活が乱れ10年以上も肥満状態が続いていた。車で営業先に行くために運動量も少ないとのこと。
お話を伺うとストレスも溜まっており高血圧、便秘気味ということがわかった。この方にはストレスを緩和する柴胡(さいこ)、血圧を調節してふらつきなどを改善する釣藤鈎(ちょうとうこう)、便通をつける大黄(だいおう)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
最初のうちは便秘が改善される程度であったが、徐々に仕事にまつわるイライラ感が減ってきた。その頃から少しずつ体重も落ちて「ベルトの穴がひとつずつ内側によってきた」とのこと。現在も上記の漢方薬を中心に、肩凝りなどにも対応する漢方薬と一緒に服用を継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
会社の定期健診で高血圧と高脂血症(高コレステロール血症)を指摘され続けてきたが、病院嫌いのために放置していた。しかし、とうとう奥さまに連れられて来局された。
学生時代(四半世紀も前になるが)はラグビー部に所属しており、ガッチリとした立派な体型であったが、就職してからは運動量も減り30代半ばから急速に肥満傾向になったという。体重の増加とともに便秘も気になりだした。身長は175cmで体重は控えめに見ても約85kgとのこと。食事は20代の息子よりも食べていると奥様がおっしゃられた。血圧は160/110近辺で推移しており、最近は赤ら顔でのぼせ感がありイライラすることも多い。
この方には代謝を促進して便通をよくする大黄(だいおう)、身体の熱感や気持ちを抑える黄連(おうれん)、血管拡張作用が知られている釣藤鈎(ちょうとうこう)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
服用から3ヵ月程度が経過した頃になると顔色は正常になり、気持ちが高ぶることも減ってきたという。食事は腹八分目を心がけて野菜から摂るようになった。そのような食生活の改善もあってすっかり便秘も解消されてきた。肝心の高血圧や高脂血症であるが、服用から約1年後の健康診断において血圧125/85で、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)量は減少しHDL(善玉コレステロール)の量が大きく増加していた。体型も「2年前に買った礼服のズボンを久しぶりに着たが、とても小さく感じられた」とのこと。現在は下肢のむくみ感などにも対応しながら継続して漢方薬を服用している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
仕事柄、あまり動くことがなく食べる量は人一倍多かったので薄々気づいてはいたが、とうとう定期健診で糖尿病と診断されてしまった。空腹時血糖は120mg/dL、自覚症状はそれほどないがやや疲れやすく喉が渇きやすい。
この方には血糖降下作用が知られている生薬の地黄(じおう)を中心とした漢方薬を服用して頂いた。地黄は上記のような作用のほかに、身体を潤し、老化に伴う体力低下を抑える働きもあるのでこの方には最適と判断した。漢方薬の服用以外にも出来る限りの運動と食事量の削減をお願いした。ご本人も糖尿病で失明や歩行障害が怖いということで、頑張ることを約束してくれた。
服用から半年が経過した頃に行われた再検査では空腹時血糖は105mg/dLまで低下し、正常域となっていた。疲労感もとれて口渇も感じなくなった。しかし、尿の出が悪く、腰の痛みが気になりだしたということで、利尿効果のある車前子(しゃぜんし)と血の流れを改善する牛膝(ごしつ)を加えた漢方薬へ変更。2ヵ月が経った頃にはこれらの症状もすっかり緩和されていた。この方の症状は糖尿病にくわえて老化現象も見られたので、この漢方薬を継続することをお勧めし、現在も服用を続けている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
いつもどおり、タクシーを運転していたときに右足親指に激痛が走った。一時的なものかと放置していたが他の指にも痛みが出だしたので病院。そこで初めて高尿酸血症に伴う痛風だと診断された。
この方は体格的にガッチリした体型であったが、仕事柄の運動不足からくる肥満化は自覚していた。そこで代謝を促進する麻黄(まおう)や便通をよくする大黄(だいおう)、炎症を抑える黄芩(おうごん)や石膏(せっこう)、痛みを取り除く防風(ぼうふう)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。それにくわえて無理のない程度の軽運動もお願いした。
漢方薬を服用されて約3ヵ月が経過した頃には毎週起こっていた痛風の発作もあまり起こらなくなり、便秘気味だった便通も改善した。しかしながら、高尿酸血症のほかに高脂血症も指摘されていたとのことで、油断せずに漢方薬の服用を継続して頂いている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
数ヵ月前、授業中に右腹部に強く突き刺すような痛みを感じた。その時期は多忙であったので少々の痛みは続いていたが放置し、数日後に同僚から黄疸を指摘され、慌てて病院を受診した。診断名は胆石症(胆嚢炎)であり、胆嚢の中に小さな胆石が数百個あると言われた。病院から処方された抗生物質と鎮痛剤で症状は落ち着いたが、以前からの肥満気味の体型も気になっていたので、これを良い機会ととらえて漢方薬服用による体質改善を決意した。
外見的にはかなりガッチリとした体型であり、日本人離れしたラグビー選手のような雰囲気であったことを記憶している。症状としてはたまに起こる右腹部の痛みや慢性的な便秘であり、最近は内勤が多くなったことで肥満気味になったことを気にされていた。この方にはまず、便通を改善し炎症を抑える大黄(だいおう)、筋肉の緊張を調節する芍薬(しゃくやく)や枳実(きじつ)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。それにくわえて、コンビニ弁当が中心であった食生活から、可能な限り和食中心にするようお願いした。
服用から数ヵ月が経過した段階で、黄疸と便秘は解消され、腹部に違和感を覚えることも少なくなったという。食事の面も改善し、185cmで95kgあった体重が80kgにまで低下していた。しかしながら、新学期がスタートして難しいクラスの担任となったのでストレスが大きくなったという。そこでストレスを緩和して炎症を抑える効果もある柴胡(さいこ)を含んだ漢方薬に微調整を行った。現在もこの漢方薬を服用していると疝痛発作も起こらず、心身ともに調子がいいということで継続服用して頂いている。
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消化器の病気
【主訴とプロフィール】
【経過】
昔から腸が弱くて軟便気味であったが、高校生の頃に突然の腹痛と下血に襲われた。いよいよ心配になり病院を受診し、そこで初めて潰瘍性大腸炎と診断されて治療が開始された。病院で処方された炎症を抑える座薬を継続使用したおかげで大規模な炎症は治まったが、少々の出血を伴う軟便と疲労感は続き、現代西洋医学以外の治療も試したいということで当薬局に来局された。
食欲はあるということだが、色白でとても線の細い方だと感じたことを覚えている。この方にはまず炎症を抑える生薬である黄連(おうれん)、黄芩(おうごん)、山梔子(さんしし)、さらに血を補う生薬である地黄(じおう)、当帰(とうき)、出血を抑える生薬である艾葉(がいよう)などから構成される漢方薬を、胃腸の負担を考慮して食後に服用して頂いた。
服用から2ヵ月が経過した頃には貧血に伴うと考えられた疲労感は軽減されていた。心配していた漢方薬服用による食欲不振なども起こらなかった。良い傾向だと感じ、同じ漢方薬を数ヵ月服用して頂き、半年が過ぎる頃には多少の軟便傾向以外のほとんどの自覚症状はなくなっていた。しかし、潰瘍性大腸炎は慢性に経過しやすい疾患なので、引き続き漢方薬の継続服用をお願いした。現在は生理時期になると貧血症状がでやすいということでそれにも対応しつつ漢方薬を継続して服用している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
20代後半のときに口内炎が多くできるようになった。最初の頃は食生活の乱れやビタミン不足かと考えてサプリメントを服用していたが症状は鎮まらなかった。それから正常であった便通が出血を伴う下痢となり、腹痛も起こるようになってしまった。とうとう仕事にも支障が出るようになり病院を受診してクローン病と診断された。病院からは炎症を抑えるためにステロイド剤と免疫抑制剤が処方され、仕事などの日常生活はなんとかこなせるまでになっていた。
くわしくお話を伺うと、かなり軽減はしたものの腹痛、下痢、消化管からの出血が原因と考えられる貧血、疲れやすさなどに悩まされているとのこと。この方の症状は炎症と貧血が顕著なため、それを同時に対応する方針をたてた。そこで、炎症を抑える生薬である黄連(おうれん)、黄芩(おうごん)、山梔子(さんしし)、血を補う地黄(じおう)、当帰(とうき)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。血を補う漢方薬は胃に負担をかけることもあるので、食欲はあるということだったが、慎重に食後服用をお願いした。
漢方薬を服用しはじめて3ヵ月くらいが経過したときには痛みも和らぎ、トイレに立つ回数も減ってきたという。顔色も良くなっていたが、仕事が繁忙期を迎えてストレスが多く食欲が落ちてきているということだったので漢方薬に変更を加えた。具体的にはストレスを緩和し、さらに炎症を抑える働きもある柴胡(さいこ)、気を補う人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、大棗(たいそう)などを中心とする漢方薬とした。念のために、食欲が落ちているということで新しい漢方薬には血を補う生薬を除いたものにした。この漢方薬を初めて5ヵ月が経った頃には、腹痛や下痢だけではなく、疲労感もすっかり取れてきたという。心配していた貧血症状であるが、まれに立ちくらみをすることはあるが特に問題ないとのこと。これは気が身体内で血に生まれ変わったことで、血虚におちいらなかったと推察される。この方は現在、ステロイド剤の副作用と思われるむくみなどにも対応しつつ漢方薬の服用を継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
しばしば胃痛に悩まされており、病院からは胃・十二指腸潰瘍と診断されていた。胃酸分泌抑制薬と胃粘膜保護薬が処方されており、それらを手放せない状態が10年以上も続いていた。それらにくわえて鎮痛剤も処方されてはいたが、それ自体が胃を荒らす副作用があったので積極的に服用することは避けていた。当薬局へはたまたま奥様が漢方薬を服用していた縁で来局された。
くわしくお話を伺うと慢性的に胃腸が冷えており時折、胃酸が喉にまで上がってくることもあるという。この方には胃酸を抑える働きがある牡蠣(ぼれい)、痛みを抑える延胡索(えんごさく)、胃腸を温める桂皮(けいひ)や良姜(りょうきょう)などの生薬から構成される漢方薬を服用して頂いた。それにくわえて冷えた清涼飲料水やサラダ・フルーツの過剰摂取は胃腸を冷やして、その働きを鈍化させる可能性があるので控えて頂いた。
漢方薬を服用して4ヵ月が経過する頃には、シクシク痛む胃の症状も落ち着き、胃酸が上がってくることもなくなったという。しかし、仕事柄、決算期前になると過労によるストレスからか痛みが出てくるとのこと。そこで、ストレスを緩和して炎症を抑える柴胡(さいこ)や枳実(きじつ)などから構成される漢方薬を繁忙期の間は併用して頂くことにした。その後にお話を伺うと、この漢方薬の組み合わせにするとストレスを感じても症状が出ることはなくなったという。この方は現在も継続的に前者の漢方薬、繁忙期には後者を追加する形で服用を続けている。
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鼻と呼吸器の病気
【主訴とプロフィール】
【経過】
中学生の頃からひどい花粉症に悩まされておりスギ以外にもイネ、ブタクサ、オオアワガエリなど多くの花粉に反応してしまう。そのため1年間のうちで半年間以上も花粉症が発症してしまうという。耳鼻科にて鼻の粘膜をレーザーで焼く外科的手術もおこなったが依然として症状は続いていた。
症状としては水っぽい鼻水、くしゃみ、鼻の中の熱感など典型的な花粉症の症状であった。それ以外の症状として身体の冷えやむくみによる重だるさなども挙げられた。この方の症状は漢方医学的には身体内にたまってしまった冷たい湿が悪さをして起こるものだと考えた。そこで身体を温めて湿を追い出す麻黄(まおう)、附子(ぶし)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。くわえて冷えた清涼飲料水やサラダ・フルーツの過剰摂取は胃腸を冷やし、その働きを鈍化させて湿を生み出してしまう可能性があるので控えて頂いた。さらに冬でもお風呂には入らずにシャワーで済ませてしまっているということで、血行を良くして身体を温めるためにもぬるめのお湯で半身浴をして頂くよう伝えた。
漢方薬を服用されてから4ヵ月が経過した頃には以前と比較して大幅に鼻水の量やくしゃみの回数も減ってきたという。身体の冷え感も生活面での改善もあって緩和されていた。その一方で今は鼻がつまって肩が凝り、頭が痛くなって困るとの訴えがあったので、鼻の通りを改善する辛夷(しんい)、筋肉の緊張を緩和する葛根(かっこん)が含まれる処方に変更した。この漢方薬を服用して3ヵ月が経つ頃には鼻や頭の症状も大きく改善された。なかなか完治とはいかなかったが、鼻水がダラダラしたり鼻声にならなくなっただけでも助かるとおっしゃって頂けた。この方は現在も症状に合わせて微調節を繰り返しながら漢方薬を継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
子供の頃から小児喘息に悩まされてきたが、大学に進学するとその症状も自然と消失していた。しかしながら、社会人となり生活リズムが乱れ出すと再び喘息の症状が現れるようになったという。お母様が当薬局で漢方薬を服用していた縁で来局された。
くわしくお話を伺うと仕事でストレスを受け続けると呼吸が深くできなくなり、典型的な喘息症状がでやすいという。そこでこの方にはストレスを緩和し炎症を抑える生薬である柴胡(さいこ)、咳を抑える五味子(ごみし)や麻黄(まおう)、痰を抑える半夏(はんげ)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。それにくわえてストレスの蓄積と喘息はこの方に限らず関連があるので、できる限り睡眠時間の確保とリラックスできる環境を整えるようお願いした。
漢方薬の服用から3ヵ月くらいが経過した頃には頻繁に起こっていた気管支喘息特有の胸苦しさと喉のつまり感が軽減された。この頃、仕事の繁忙期が近いということで気を補う黄耆(おうぎ)、ストレス対策として気の巡りを改善する紫蘇葉(しそよう)、厚朴(こうぼく)などを含む漢方薬に変更した。その後、繁忙期も喘息発作が起こることなく乗り切り、現在も微調整を加えながら漢方薬の服用を継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
慢性的に鼻が詰まっていて黄色いネバついた鼻汁に昔から悩まされていた。病院の抗アレルギー薬は眠気が強くて仕事中に車に乗ることができず、眠気が少ない薬では効果が実感できなかった。当薬局へは症状にみかねたご友人に勧められて来局された。(このご友人の方は過去に当薬局で花粉症の漢方薬を服用していた)
お話を伺うと典型的な副鼻腔炎の症状であり、さらに頭痛・頭重感・強い肩こりと首筋のこりもあるとのこと。この方には鼻の通りを改善する辛夷(しんい)、頭痛や頭重感を取り去る川芎(せんきゅう)、上半身の筋肉のこりを和らげる葛根(かっこん)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。さらに炎症を助長させるアルコール類やつらいものは控えるようにお願いした。
漢方薬の服用から3ヵ月くらいが経過した頃には頻繁に起こっていた気管支喘息特有の胸苦しさと喉のつまり感が軽減された。この頃、仕事の繁忙期が近いということで気を補う黄耆(おうぎ)、ストレス対策として気の巡りを改善する紫蘇葉(しそよう)、厚朴(こうぼく)などを含む漢方薬に変更した。その後、繁忙期も喘息発作が起こることなく乗り切り、現在も微調整を加えながら漢方薬の服用を継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
子供の頃から鼻炎気味でいつも鼻がつまっていたが、特に治療は行わずにきていた。しかしながら、短大生時代に花粉症を発症してからは完全に両方の鼻の穴が鼻汁で塞がってしまい耳鼻科で治療を受けた。現在も耳鼻科で抗生物質や飲み薬と点鼻薬の抗アレルギー薬が処方されており服用を続けているが、なかなかあと一歩の改善が見られなかった。
くわしくお話を伺うと、病院での検査の結果、スギやヒノキの花粉症だけではなくハウスダストや動物の毛・皮など多くのアレルギーが発見されたとのこと。症状としては鼻の閉塞、黄ばんだネバつきのある鼻汁、患部の熱感や痛み、肩こりなどを訴えられた。この方にはまず、炎症を抑えて熱を清める石膏(せっこう)、山梔子(さんしし)、知母(ちも)、鼻の通りを改善する辛夷(しんい)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
漢方薬を服用されてから4ヵ月程度が経過した段階で、鼻の熱感はすっかり鎮まり痛みもあまり感じなくなったという。しかし、まだ鼻の閉塞感にともなう頭痛と膿を含んだ鼻汁は出るという。これを受けて、排膿作用に優れた桔梗(ききょう)や頭痛を鎮める川芎(せんきゅう)を加えた漢方薬に変更した。この漢方薬を服用してさらに数ヵ月で鼻汁もやや黄ばみがとれて出しやすくなり、頭痛の程度も軽減したという。現在も漢方薬を服用していると鼻呼吸がしやすいということで継続的に服用されている。慢性鼻炎や副鼻腔炎などは完全に治療することは難しいが、生活の質向上には大きな効果があると感じた一例であった。
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その他の病気
【主訴とプロフィール】
【経過】
大学生の頃から「世界が回転するような」めまいに悩まされていた。貧血なのかと自己判断して鉄剤などを服用していたが改善されず、病院でメニエール病と診断された。処方された薬を服用すればある程度は改善したが、何度も再発することに不安を感じ、当薬局に来局された。
漢方医学的にめまいは多くの原因が考えられたが、この方は足のむくみが顕著な点と再発するのが湿度の高い梅雨時に集中している点から、身体内の水のバランスが偏っていると考え、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、蒼朮(そうじゅつ)など、水の遍在を是正する生薬を多く含む漢方薬を服用して頂いた。
服用から約2ヵ月が経過する頃には大きく天地が回るようなめまいは起こらなくなったとのこと。しかしながら、クラクラするような症状はまだ残っていた。さらにトイレの回数が多くなって困るとおっしゃられたが、水をしっかり代謝している良い傾向と考え同じ漢方薬を服用して頂くように説得した。そしてさらに2ヵ月くらいが経った頃にはまったくめまいの症状も消失し、トイレの回数も元通りになっていた。現在は毎年、春が終わる頃になると同じ漢方薬を服用するために来局されている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
20代後半に出産を経験し、その頃から便秘体質になってしまった。その便秘の影響からなのか排便のときに強く力む習慣ができてしまった。最初のうちはあまり気にしなかったが出産から1年が過ぎた頃になると切れ痔による出血がトイレットペーパーにしばしば付着するようになってしまった。
困り果てて来局される頃には切れ痔からボコッとイボのように膨らんだ痔核が形成され、そこからの出血で下着も汚れてしまうことがあるという。仕方なく生理用パットを常に着用するまでになってしまった。まず、痔核は漢方医学的視点から血流の滞りによって形成されると考える。そこで、血流を改善する生薬である桃仁(とうにん)、牡丹皮(ぼたんぴ)、紅花(こうか)から構成される漢方薬を服用して頂いた。それと併せて皮膚の再生を促す紫根(しこん)を中心とする軟膏剤である紫雲膏(しうんこう)を患部に塗ってもらうことにした。生活習慣の面においては炎症を助長する刺激物(アルコール類や辛い物など)などの摂取を控えるよう伝えた。それ以外にも患部の血流を改善する目的でぬるめのお風呂に長く浸かって頂くようお願いした。
漢方薬を服用しだして3ヵ月が経過する頃にはトイレットペーパー越しからもわかる大きさであった痔核が小さくなったとのこと。この方も職員室で座るときは円形クッションを使うなどして生活面でも対応を行ってくれた。しかし、まだ出血が残っているということと、やや貧血気味との訴えがあったので血を補う地黄(じおう)、当帰(とうき)、そして止血作用がある艾葉(がいよう)などから構成される漢方薬に変更した。この漢方薬を服用して約2ヵ月が経った頃には出血や痛みも無くなり、まれにトイレットペーパーがややピンク色っぽく変色する程度という。痔核自体も凸状に出ることはまったく無くなったとのこと。現在はまだ便秘傾向は続いているということで大黄(だいおう)を中心とした漢方薬を継続的に服用して頂いている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
店舗内で仕事をしていたとき、「まるで背後から包丁で刺されたような痛み」を感じて半気絶状態に陥った。そのまま救急車で緊急搬送され、病院で尿路結石と診断された。3日間の入院中に数個の石は出たが、まだ腎臓にいくつかの細かい石が残っているという。その後、利尿剤と鎮痛剤を処方されて退院となった。それ以来、何度かの発作のたびに鎮痛剤で様子を見ていたが、とうとう大きな発作に再び襲われ、何とかしたいと思い立ち漢方薬の服用という発想に至った。
この方は体格的にはガッチリしているように見えたが、お話を伺うと足のむくみやめまい感などにも困っているとのこと。そこで尿路の筋緊張を緩和するために芍薬(しゃくやく)、炎症を抑えるために滑石(かっせき)や黄芩(おうごん)、そしてめまいを起こす水分の偏りを改善する蒼朮(そうじゅつ)や茯苓(ぶくりょう)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
服用から2ヵ月が経った頃にはむくみやめまい感が顕著に回復した。しかしながら、大きな発作はないものの、発作前に感じる独特の違和感や小さな発作は続いているという。さらにくわしくお話を伺っているとお仕事は魚屋で、仕入れに出向いているときに発作が起こりやすいという。この時期はとても寒い冬であったので、冷えにより筋肉が緊張し、発作の引き金になっていると考えた。そこで桂皮(けいひ)、細辛(さいしん)、呉茱萸(ごしゅゆ)など身体を温める生薬を含む漢方薬も併用して頂いた。その効果は数ヵ月後に現れ、腰から下の冷え感や持病であった腰痛と一緒に尿路結石や腎結石の発作も全く起こらなくなった。現在もこの方は季節や症状に合わせて微調整を加えつつ、服用を継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
現在、在籍しているIT企業に就職してからドライアイに悩まされるようになった。仕事柄、眼を酷使するので眼精疲労には慣れていたが、眼の乾燥感が顕著になると頻繁にまばたきをしないと眼を開けていることもできなくなった。このままでは仕事にも支障をきたすということで当薬局に来局された。
お話を伺うと、最近になって職場の配置転換で強いストレスも感じているという。眼は漢方医学における肝がその機能を司っていると考えられており、肝はストレスに弱いという特徴もある。そこでこの方にはストレスを緩和する柴胡(さいこ)、眼を栄養する血を補う当帰(とうき)、身体に潤いをもたらす麦門冬(ばくもんどう)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。それにくわえて職場も乾燥しているということで、水分を含んだタオルをデスクのそばに置いておくなどの乾燥対策もお願いした。
漢方薬の服用から約4ヵ月が経過した頃には、眼の乾燥感は気にならなくなったとのこと。来局されてご症状を伺っているときも慌ただしくまばたきをすることもなくなった。現在の部署にもだいぶ慣れてきたという。表情も徐々に明るくなってきた印象。この方自身もストレスとドライアイの関連性に気付いていた節もあり、ストレス対策に重点を移しつつ漢方薬を継続服用している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
ご高齢ながら息子様が経営している八百屋で手伝いをしている元気な方であったが、数年前から口の中の乾燥感と背中の熱感が気になるようになってきた。最初の頃はあまり気にもしていなかったが、徐々にそれらが原因で寝付きも悪くなってしまった。
くわしくお話を伺うと口の中がカラカラに乾燥して、水分が手放せないという。それ以外にも背中を中心に熱感が広がっており、布団に入るととても不快とのこと。これらの訴えから、この方の症状は身体に潤いと適度な冷えをもたらす血や津液(しんえき)が不足した結果、ドライマウスが起こったと考えた。身体の熱感に関しては、冷却材である血や津液が不足したことで相対的に熱が優勢となり、そのような自覚症状を訴えるに至ったと推測した。そこでこの方には血の不足を補う地黄(じおう)、当帰(とうき)、そして身体に潤いをもたらす麦門冬(ばくもんどう)、天門冬(てんもんどう)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。それにくわえて、血などの不足は過労からくるものかもしれないので、お仕事は七分目くらいに加減して頂くようにお願いした。
漢方薬を服用してから数ヵ月が経過する頃にはドライマウスの症状はだいぶ緩和され、人と長時間話すのも苦にならなくなったという。しかしながら、軽減はされたということであったが背中の熱感がまだ残っているとのこと。そこで、これまでの漢方薬にくわえて黄芩(おうごん)や山梔子(さんしし)などの熱を抑える生薬から構成される漢方薬を追加した。そして、それらを併用して頂いて2ヵ月が経った頃には一通りの症状は消失していた。このような症状はご高齢の方に限らず、過労などで体力を消耗すると気に続いて血も消耗してしまうので、若い方でも十分起こりえるものであろう。
【主訴とプロフィール】
【経過】
いつも通り仕事をしていたが、高い棚の上にあるファイルを取ろうとしたときに右肩に激痛が走った。その後も痛みは続くので、整形外科を受診してシップ剤と鎮痛薬を処方された。たしかにこれらを使用すると症状は和らいだが「根本的な解決にはならなかったので漢方薬を試そうと思った」ということで当薬局に来局された。
お話を伺うとむくみにも悩まされており、朝は足から顔までパンパンになるとのこと。その一方で健康維持のために毎日2Lも水分を摂っていることがわかった。漢方医学的には過剰な水分が身体内で停滞すると悪性の水分である湿になり、痛みを生み出す原因となる。この方の場合、過剰な水分摂取と、湿度が高い梅雨時に五十肩を発症したことからも湿が悪さをしたと考え、それを取り除く蒼朮(そうじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、羗活(きょうかつ)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。くわえて過剰な水分摂取はこの症状には逆効果であると説明し、水分が欲しいときは必要量を温かくして摂って頂くようにお願いした。
服用してから数週間で顔のむくみがひいてきたと喜ばれたが、痛みは依然としてあるという。一度形成された湿は除去し難いということを説明し、根気強く服用を継続して頂いた。そして、2ヵ月が経過した頃には全身のむくみもとれて、肩の上まで腕が挙げられるようになった。さらに、湿度もだいぶ下がった頃になると嘘のように痛みは完全に消失していた。これは漢方薬・生活改善・季節の3要因がうまく連携して得られた結果であろう。
【主訴とプロフィール】
【経過】
70代前半の頃から両手のふるえが始まった。最初は年齢によるものかと思いマッサージやお灸で自己治療を行っていたが効果は無く、そのふるえも徐々に大きいものになり、不安になって病院を受診。パーキンソン病だと診断された。現在は両手のふるえにくわえて軽度の歩行障害も併発している。少しでも症状が改善すればと思い当薬局に来局された。
筋肉の動きに異常が起こるパーキンソン病は五臓における肝との関連が深く、加齢により発症しやすい点は腎とのつながりが推測される。それを考慮してこの方には釣藤鈎(ちょうとう)や地黄(じおう)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。それにくわえて病院から出されているレボドパなどの薬もしっかりと服用することをお願いした。
服用から約3ヵ月が経過した頃にはパーキンソン病に伴う焦燥感やイライラ感が薄らいだとのこと。さらに2ヵ月が経った頃には手のふるえが小振りになり、補助具を用いての食事が可能になったと喜ばれた。それにくわえて持病であった腰の痛みが和らいだとのこと。そしてさらに約3ヵ月が経過した頃、筋肉の緊張度合いが緩和されて歩くのが楽になったとおっしゃられた。パーキンソン病は漢方薬によって完治させることは困難であるが、日常生活の質を向上する一助になると感じた症例であった。
【主訴とプロフィール】
【経過】
10年以上前にC型肝炎を発端とする肝硬変を発症し、病院で治療を続けていた。そこでの治療の結果、だいぶ体調は持ち直したものの虚脱感や気分の落ち込みなどの症状は残っていた。当薬局へはご主人様の職場が近かった縁で来局された。
先立って漢方薬を用いて肝硬変を完治させることは困難であること、そして症状の緩和の一助にはなることを説明し、漢方薬の服用を開始した。まずは顔色のどす黒さやあざの多さに着目して血流を改善する生薬、食欲不振を改善させる生薬などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
服用から3ヵ月が経過した頃、顔色が回復して虚脱感も抜けてきたという。しかし、代わって気分の落ち込みが目立っているとのこと。病院からの治療薬の副作用でそのようなことが起こりえるとは聞いていたいがあまりにもつらいと訴えられた。そこで気の滞りを改善する柴胡(さいこ)、枳実(きじつ)、厚朴(こうぼく)などから構成される漢方薬に変更した。この漢方薬を服用して数ヵ月が経った頃には気持ちもずいぶん落ち着いたと喜ばれた。この方は漢方薬を服用しはじめて数年が経過しているが、日常生活において大きな問題が無いまでに回復した。現在、肝硬変の病状自体は小康状態を保ちつつ推移している。漢方薬は移り変わりやすい症状に対応する形で微調節を行いつつ、現在も服用を継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
会社の定期検診でたまたま受けた乳癌検診で小さな癌が数個発見された。幸い早期発見されたことで多数の癌は手術で切除されたが、一部が切除できず残り、放射線治療と抗癌剤で対応することとなった。当薬局へは現代西洋医学以外の治療を併用したいということで来局された。
まず、放射線治療と抗癌剤がまずまずの成果を挙げているということで、それを補うように漢方薬を用いることを説明した。それを受けて訴えられていた貧血症状や食欲不振、そして強い疲労感を中心に対応することになった。したがって、まずは気を補い消化器を立て直す働きを持つ人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、白朮(びゃくじゅつ)から構成される漢方薬を服用して頂いた。
服用から3ヵ月程度が経過した頃には少しずつではあるが食事が摂れるようになってきたという。さらに数ヵ月が経つと食欲不振はほぼ気にならなくなってきた。しかしながら、放射線治療の影響なのか貧血の度合いが強くなったので、血を補う当帰(とうき)や地黄(じおう)などから構成される漢方薬を食後に服用して頂くことにした。それからまた3ヵ月ほどが過ぎた頃には血色もだいぶ良くなり立ちくらみなども少なくなったという。病院での治療プログラムも順調に消化できているとのこと。この方は現在も癌は進行せず、通院での治療を続けている。漢方薬も病院の治療プログラムに沿う形、副作用の影響を最小限に抑えて治療を円滑に行えるようにアシストする形で継続している。
【主訴とプロフィール】
【経過】
年金をもらいだした頃から冷えた家の中にいることが多くなり、徐々にトイレの回数が増えてきた。「最初は少々、手間が増えたくらいの気持ちだった」が、その年の冬を境に腰の痛みと一緒に夜間に何度もトイレに起きることが続いた。老化現象だとは分かっていてもつらく、当薬局に来局された。
この方は老化現象にくわえて、身体の冷え感がとても強かった。そこで老化で衰えた腎気(じんき)を補う地黄(じおう)と、身体を温める附子(ぶし)、桂皮(けいひ)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。それにくわえて健康維持に飲み続けていた多量の冷たい水の摂取は控えて、適量のお茶に切り替えて頂くようお願いした。
服用から3ヵ月が経過した頃には冷え感もだいぶとれて、トイレに立つ回数も減ってきたという。季節的にだいぶ暖かくなってはきたが、引き続き、できる限り厚着で過ごすようにお願いした。それからまた数ヵ月が経った頃には、腰痛も頻尿も落ち着き、現在はカラオケに出かけるついでに毎月来局されている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
2年ほど前から抜け毛が多くなっていることには気付いていたが、散髪に行った際に500円ほどの大きさの円形脱毛が頂頭部左側に見つかった。心配になり近所の病院を受診して円形脱毛症と診断され、精神安定剤などを処方された。しかしながら、それらを服用しても大きな効果は得られず、立ちくらみや集中力欠如などの副作用が気になりだしてしまった。当薬局へはホームページを見て興味を持ち、来局された。
お話を伺うと、3年前から現在の職場へ移り精神的なストレスを感じていたという。ご本人もそれが円形脱毛症の原因と考えられていた。それにくわえて体力の低下や疲労感、食欲不振を強く訴えられた。漢方医学的に髪は血の生まれ変わりと考えるので、この方は血が不足している血虚(けっきょ)の状態と考えた。それにくわえて現在の仕事は精神的にも肉体的にもつらいということで、血だけではなく食欲不振からくる気の不足も併せて推測された。この方にはまず、ストレスを緩和する柴胡(さいこ)、血を補う当帰(とうき)や竜眼肉(りゅうがんにく)、気を補う人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、大棗(たいそう)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。
服用から4ヵ月ほどが経過した段階で、食欲も増して疲労感はだいぶ軽減された。お話を伺っていても以前と比べて声に張りと生気を感じた。円形脱毛は依然として残っていたが、だいぶ大きさは小さくなったと喜ばれた。これらを受けて同様の漢方薬で良いと判断し、根気強く継続の服用をお願いした。そして服用から1年が経った頃には脱毛はきれいに消失していた。この頃には職場にもだいぶ慣れて、精神的なストレスが軽減されていたことも改善に貢献したと考えられる。
【主訴とプロフィール】
【経過】
父親が認知症と診断されたという50代の女性(娘様)が代理として当薬局に来局された。くわしくお話を伺うと、以前からではあったが父親は非常に怒りっぽく、最近では家族の言うことを全く聞かなくなってしまったとのこと。猜疑心も増して暴れることも多くなり、困り果てているという。病院で治療薬を処方されたが治療効果はなく、むしろ大声で怒鳴ることが多くなり服薬は中止された。
娘さんにはまず、認知症を完治させることは困難であると説明した上で漢方薬を服用して頂くことをお願いした。この方の怒りやすくいつもイライラしているという症状は肝の機能が失調することでよく起こる。そこでまずは肝の状態を立て直す漢方薬を服用して頂いた。
漢方薬を服用しだしてから2ヵ月が経過した頃には娘さんいわく、理由もない怒りや暴れることはなくなり介護がとてもしやすくなったとのこと。しかしながら、最近は悪夢をみたり、不安感が強いということで眠りが浅くなっているらしいという。これは心における血が不足したときにおこる典型的な症状であるので、心血を補う竜眼肉(りゅうがんにく)や酸棗仁(さんそうにん)などから構成される漢方薬に変更した。それからまた数ヵ月が経った頃には不安感が軽減されたのか睡眠のリズムもほぼ正常化したとのこと。記憶力の低下や整合性のとれた会話などは依然として困難ということであるが、父親を介護するという面においてはだいぶ楽になったという。現在は夜間尿や身体の冷えなどの症状を訴えているということで、随時、症状に対応する形で服用を継続して頂いている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
家事をこなしているときに右手の指にピリピリとした痛みを数年前から感じだした。最初は手作業のし過ぎと考えていたが、徐々に手首の関節も痛みだしたので病院を受診。関節リウマチと診断され、鎮痛剤を中心に薬が処方された。鎮痛薬を服用していれば痛みは薄らいだが、その副作用で胃の調子を崩してそれ以来、西洋薬を服用するのに抵抗を感じてしまうという。
くわしくお話を伺うと、雨の日や湿度の高い日は特に痛みが酷いとのこと。さらに足の静脈は青紫色が濃く、とても目立っていた。舌の裏を見せて頂くと昇り竜のようなはっきりとした静脈も確認できた。これらを総合して、この方の症状は漢方医学でいう湿と血が停滞したことで、気の流れまでもせき止められて痛みが生じていると考えた。
まず、来局された時期が梅雨時であったので、湿を取り除く半夏(はんげ)、陳皮(ちんぴ)などから構成された漢方薬を服用して頂いた。漢方薬を服用しはじめて2ヵ月が経過した頃には湿の症状である身体のだるさやむくみが解消されてきたとのこと。痛みは少々、軽減されたが依然として残っていた。そこで梅雨も終わったので、血の流れを改善する桃仁(とうにん)、川芎(せんきゅう)、紅花(こうか)などから構成される漢方薬を追加した。この漢方薬を服用して4ヵ月が経った頃には静脈の色も健康色に戻り、顔色も薄黒から赤みを帯びた肌色となっていた。課題であった痛みも和らぎ、ほとんど病院から処方された鎮痛薬を飲むことはなくなったという。現在もこの方は季節や症状に合わせた漢方薬を継続して服用して頂いている。
【主訴とプロフィール】
【経過】
50代前半のとき、仕事中に強烈な痛みを胸に感じて倒れてしまった。運良くご家族に発見されて救急車で病院に搬送、そこで狭心症と診断された。病院からは血管拡張作用があるニトロや降圧剤、高脂血症薬を処方されていたが、本人いわく「仕事で忙しかったし(即効で痛みを取り除く)ニトロ以外は面倒だったのであまり服用しなかった」とのこと。それが影響したのか胸の痛みの頻度は増して、とうとう心筋梗塞になってしまった。
この方には病院の薬もしっかり服用することを確認し、漢方薬を調合することになった。まず、漢方医学において心筋梗塞や高血圧は血の滞りと考えるので、滞りを取り除く紅花(こうか)、桃仁(とうにん)、芍薬(しゃくやく)などから構成される漢方薬を服用して頂いた。それにくわえて中国では心筋梗塞や脳卒中にも用いられる田七人参(でんしちにんじん)の粉末を併用することにした。
漢方薬を服用して約4ヵ月が経過する頃には、胸の痛みも緩和され、痛む頻度も落ち着いてきたという。病院の薬もしっかりと飲まれているということで血圧やコレステロールの数値も安定している。現在は仕事柄ストレスが多くて血圧が上がりやすいということで、ストレスを緩和する生薬を加えつつ、漢方薬を継続服用して頂いている。
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