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不妊症とは
正常な性機能をもつカップルで避妊をせず、ある程度の性交渉をもつ男女であれば、1年以内に約80%が、2年以内では約90%が妊娠すると云われております。統計では10組の夫婦のうち1組が不妊症ですので1年経過して妊娠しなければ検査や治療を開始する事が望ましいです。昔は、不妊症は女性に原因があるかの様に云われていましたが実際はWHO(世界保健機構)の調査によりますと41%が女性、24%が男性、男女双方が24%原因があり、残り11%は原因不明との報告があり、近年特に男性に問題ありが増加傾向の様です。
1992年ネルス・シャバック博士(デンマーク)は21カ国15,000人の精子数を1938年〜1990年調査した所、精子数は40%以上減少し、精子密度は50%以下になり、平均で毎年1%下降した事実を発表して世間を驚かせました。2003年にWHOで開催された「環境の生殖に対する影響」による国際シンポジウムによりますと。1950年調査による1ml中の精液中の精子密度は、1.31億個から0.5億個に、射精時の平均精液の量は3.5mlから2.6ml減少したとの報告が発表されました。 まさに人類は予測できない危機に直面していると云えます。 環境ホルモンや心身の過度なストレス、生活の乱れなども原因ではないかと云われています。
男性不妊症の原因は
◎約90%が精子に問題がある場合と考えられますので、精液検査を受けて精子数、運動量、奇形率を調べる事をお勧めします。その結果により、それぞれの対応方法があります。
精液検査について
検査の結果で精液中精子が少ない場合でも、
性急に不妊症と結論をださないで、しばらくは漢方薬の服用やタイミング法、人工授精など自然に近い方法を試されたらよいです。
検査の結果で精液中精子が存在しない場合でも
不妊医療の進歩により、顕微授精、精巣上体精子採取法、経皮的精巣上体精子採取法、精巣精子採取法などにより妊娠可能な場合もありますのでお考え下さい。
検査項目と数値は以下の通りになっています。
正常精液の成分(WHO 1987年の統計による)
正常な精液量と精子について
正常な精液量は
1回の射精の量は2〜4mlで1.5ml以下になると、不妊の原因になる場合があります。
精子の運動率は
精子のなかには直進しないで、一定の場所をぐるぐる動きまわるものや振り子の様な動きをするものがあります。直進する精子が少ないと不妊の原因になる場合があります。
精子数は
1回に射精される精子数は1ml中、平均1億〜6,000万匹と云われています。4,000万匹以下になると精子過少症と云われ不妊の原因になる場合があります。
精子の奇形率
精子の奇形は精子の頭部に起こる事が多く、奇形率が2割以下なら正常ですが、3割以上になると不妊の原因になる場合があります。
男性の不妊治療法
精子数や運動率などに応じての色々な受精方法があります。
◇タイミング法
精子は射精後、女性の体内で約2〜5日間生きており、卵子は卵胞より排出され約1日の命なので排卵日の1日前と当日に合わせてセックスをします。
※タイミング法でしばらく試してみて妊娠しない場合は順次下記の方法を試されると良いです。
◇人工授精(AIH)
1mlあたりの精子数1,000万個位で平均値よりやや少ない場合で運動率が悪い時や、インポテンツ、などの場合は精子を直接、子宮内に注入します。
◇体外授精(IVF−ET)
1mlあたりの精子数500万個位で平均値より少ない場合で排卵誘発剤や外科的方法により取り出した卵子を体外で受精させ子宮内に戻し妊娠させます。
◇顕微授精(ICSI)
1mlあたりの精子数1個位の場合で、体外で顕微鏡にて卵子に直接、精子や精核を注入して受精させ子宮内に戻し妊娠させます。
◇精巣上体精子採取法(MESA)
精液中の精子は0で精巣上体に精子が生存している場合は切開にて精子を取り出し体外にて卵子に受精させ子宮に戻し妊娠させます。
◇経皮的精巣上体精子採取法(PESA)
精液中の精子は0で精巣上体に精子が生存している場合で切開しないで皮膚より患部に直接針をさして吸引して精子を回収する方法で切開をしないので患者の体の負担が少ないです。
◇精巣精子採取法(TESE)
精液中の精子は0で精巣に精子が生存している場合は陰嚢を切開して精巣内部の精細管より精子を採取して体外にて卵子に受精させ子宮に戻し妊娠させます。
◇精子無力症の不妊治療
精子の運動率が悪い場合は状況により人工授精、体外受精、顕微受精を行います。
◇精子奇形症の不妊治療
奇形の精子が多い場合は正常な精子を選び体外受精、または顕微受精を行います。
◎ほかに僅かではありますが
精路通過障害、精索静脈瘤、性行為障害、停留睾丸、クラインフェルター症候群、おたふく風邪による睾丸炎
などによる男性不妊症があります。
※男性に原因があると考えられる場合でも、女性の側にも問題がある場合もかなり見受けられますので、当薬局のホームページの女性の不妊症と漢方薬の項目を参照になさる事をお勧めします。
人工授精、体外受精の費用
人工授精の費用は
約15,000円〜30,000円位で一般的には5〜6回行います。
体外受精の費用は
病院や治療により異なりますが、約20万円〜60万円位です。
顕微受精の費用は
病院や治療により異なりますが、約25万円〜80万円位です。
※人工授精、体外受精、顕微受精の場合は、多額の費用と精神的、肉体的な負担がかかります。
多くの人は数回〜数十回行い費用も数百万以上かかる場合もありますが、絶対妊娠して子供が授かる保障はありません。想像以上に大変な事だと覚悟しておいた方が良いと思います。
精子数や運動率を高める日々の養生
◇たばこの喫煙者は節煙または禁煙が望ましいです。
禁煙者に比べ精子数が10〜17%減少して、精子の運動率が低下、精子の奇形率の増加などの影響があると云われており、本人が吸わない場合でもパートナーが喫煙者の場合は受動喫煙になり影響を受けます。
◇過度のアルコール摂取は控える様に。
テステロンの分泌や、精子量を減少させますので生殖能力が低下しますし精力が減退しますし勃起不全になります。
◇過労や睡眠不足、生活のリズムの乱れなどにならない様に。
少なくとも睡眠時間は8時間はとる様に、また夜更かしは控えて12時前には就寝する様に心がけて下さい。精子量を減少させます。
◇下半身を無理に締めつけたり、圧迫したり、高温にさらさない様に。
精子の造精には陰嚢、精巣の温度は体温より1〜2℃低い温度が望ましいので、長時間の座位を控え、下着はブリーフよりゆるめの通風性の良いトランクスが望ましいです。また近年流行の、きつめのジーンズなども好ましくありません。
◇アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどが不足しない様に注意する。
アルギニン、Lカルニチン、リコピン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB12、亜鉛、セレン、マンガンなどは精子の造精機能を促進させ、運動機能を高めますので不足しない様にする。
◇動物性の蛋白質や脂肪を摂り過ぎない様にする。
栄養の摂りすぎは、繁殖の危機感が無くなり、種保存の生殖本能が働きにくくなる。飢餓状態になると精子数が増加すると云われている。
◇適度の運動や気分転換を心がけ、ストレスをためない様にする。
精子数の減少、精力減退や勃起力の低下をもたらします。
漢方薬による治療
西洋医学に於いて有効な薬はありませんので、人工授精や体外受精、顕微受精などを受診する場合、恥ずかしさや心身のストレス、高額な金銭負担を考える時に先ず漢方薬の服用を御薦めします。当薬局での漢方薬服用とカウンセリングにて妊娠する方がかなりいらっしゃいます。現代医学の不妊治療と併用も出来ますので、気長に服用なさる事をお薦めします。
◎多くの場合は東洋医学的診断で「腎虚」と云う体質に分類されます。腎虚とは腎臓そのものではなく泌尿器系、免疫系、生殖系、を統括しており、生命力、体力の低下、ストレス、老化などによる機能低下を云います。「補腎剤」を用いて腎の働きを高め改善させます。そのほかに考えられる場合は
◎「脾胃気虚」 胃腸虚弱で元気がなくすぐ疲れる。
◎「気血不足」 自律神経失調症気味で疲労感がある。
などが原因の場合も、症状に合う漢方処方が沢山あります。
漢方薬では「同病異治」の治療をします。病名のみで処方を決めるのでなく、体力、体質、病気の進行具合、症状などにより東洋医学的な診断で処方が決められます。素人判断で漢方処方を服用する事は効果が期待できないばかりか、副作用が起きる場合もありますので、漢方薬の診断に精通した専門の薬剤師に相談したうえで服用なさる事を御勧め致します。
なお、精力減退、インポテンツなども男性不妊と密接な関係があります。奥様に分からない様に服用する事も可能です。良く効く漢方薬がありますのでぜひ相談下さい。
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