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老人性痴呆(認知症)とは
一度発達した精神の機能が加齢により、何らかの原因で急激な脳の器質的障害を受け機能が衰え、記憶の欠落や思考力、判断力の低下が進行すると、人格の崩壊、人物誤認、徘徊、幻覚、幻聴、幻視、失禁、性衝動、不眠、夜間譫妄、不潔行為、被害妄想、収集癖などの問題行動を起こし、介護なしで日常生活を送る事が困難な状態になる事を云います。厚生労働省の統計では、現在日本では約160万人の老人性痴呆の患者がおり、65歳以上の人口の約6%で高齢になる程増加して85歳以上では25%以上を超えます。
認知症の初期症状
同じ話を繰り返す、知人の名前が思い出せない、食事をした事を忘れる、漢字を忘れる、簡単な計算が出来ない、しまった物の場所が思い出せない、外出がおっくうになる、身だしなみに無関心になる、向上心が無くなる、人の意見を聞かない、自分の考えが常に正しいと頑固に主張する等の症状が現れます。
ほとんど該当するようだと要注意です。
老人性痴呆(認知症)の分類
◆アルツハイマー型認知症
認知症の約50%を占め、70歳前後の女性に多く、早い人では40〜50歳代でも発症します。脳の全般的な萎縮、特に脳神経細胞の海馬と扁桃核の萎縮変性や大脳皮質に老人斑がみられ徐々に進行して行きます。はじめは物忘れではじまり、認知機能の低下や人格の変化、被害妄想、徘徊、つじつまの合わない話をするなどを主な症状とし、不精、ウツ症状など人格崩壊が激しく、進行すると着替え、入浴、食事、排泄が不自由になり、さらに進行すると立つ、歩く、座るが出来なくなり、寝たきり状態で食べ物を飲み込む事が出来なくなり嚥下性肺炎などで死亡する事が多くなります。
☆原因はまだ完全に解明されていませんが
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アルミニウム製食器の長年の使用により、アルミニウムの摂取過多により発症するのではないか。 |
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βアミロイドやタウタンパクが脳細胞で異常増殖して徐々に脳細胞が死んで進行するのではないか。 |
| ◎ |
女性に多いのは閉経後、卵巣からエストロゲンが分泌されなくなる事によるのではないか。 |
| ◎ |
脳内神経伝達物質の異常によるのではないか。 |
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などが原因として疑われています。 |
☆他に原因として分かってきた事
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遺伝子の異常
孤発型アルツハイマー認知症に比べ、少数の家族性アルツハイマー認知症の場合は白色欧米人の遺伝率は日本人に比べ高い。両親の片方に病歴がある場合は発症率が高く子供の発症確率は約50%と云われています。 |
| ◎ |
糖尿病になるとアルツハイマー病を発症する危険性が2倍以上になる事が、国内外の疫学研究より判明しました。 |
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| ※ |
喫煙によりニコチンの摂取がアルツハイマー型認知症の発症を減少させると云う説も有りましたが現在では否定されており、むしろ喫煙リスクが約1.8倍と云う結果が出ている。 |
◆脳血管性認知症
高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病により脳動脈硬化が進行して、脳血管が破れる脳出血や、脳血管が詰まる脳梗塞など脳血管障害などにより脳細胞が破壊され、血行障害により充分に酸素や栄養分が脳細胞に行き渡らないので機能が低下する事により発症し、ゆるやかに進行する。まだら痴呆や時間や相手によって症状が異なる現象がみられます。
脳血管障害の30〜40%が認知症になり、認知症全体の約15%を占め、日本人の男性に多く、高齢でない人でも発症します。物忘れが進行し感情の起伏が激しく、意欲の低下、ウツ症状、めまい、せん妄、言語障害、手足のしびれ、麻痺などの運動障害が見られます。
生活習慣病の持病を持っている人や、両親や親族に代謝疾患等になりやすい体質の人がいる場合は発症率が高い様です。
◆レビー小体型認知症
認知症の約20%を占め、男性に多く、初期には、物忘れや判断力の低下が見られますが目立たないので見過ごされる事が多いです。進行すると、うつ症状、見えないものが見える幻視、妄想が現れたり、睡眠中に大声を発したり、暴れたりするなどの異常行動が見られます。アルツハイマー病と類似しているので誤って診断される事があります。
脳の大脳皮質にレビー小体と云われる異質な蛋白質が沈着して脳の働きが妨げられ機能障害を起こします。
脳幹にも異質な蛋白が沈着するとパーキンソンと類似様症状が併発しますので筋肉がこわばり、動作が緩慢になり転びやすくなります。
◆前頭・側頭型認知症
大脳の前頭葉や側頭葉が限局的に萎縮する認知症で
前頭葉が萎縮すると
認知症に加えて無気力、無責任になり軽薄で落ち着かなくなり40〜50歳で発症する場合も有ります。症状が軽度なので本人や周囲の人にわからず、万引き、痴漢などで警察沙汰や家庭崩壊の原因になる場合もあります。
左側頭葉が萎縮すると
認知症に加えて言語障害が現れ、しゃべれないのでなく言葉が思いだせなくなります。
前頭葉と側頭葉が同時に萎縮すると
進行すると物忘れがひどくなり体の運動障害や失語症や寝たきになってついには死亡します。
◆複合型認知症
80歳代以上の高齢者は、アルツハイマー型と脳血管性認知症が併存している人が多い様です。
◆その他の認知症
わずかですが進行性核上麻痺、ハンチントン病、MCI 等々があります。
認知症をさらに悪化させる二次的要因
著しい環境の変化
親族や親しい友人または本人の転居、別離、転職、退職など。
過度のストレス
親族や親友の死亡。老い、病気、老後の生活不安、人間関係、金銭問題など、いらいら、抑うつ症状。
身体問題
老化に伴う体力、気力、視力、聴力の低下、病気やけがなどによる寝たきり。
※病人をお世話する人は
・言動を否定しないで相手にあわせる様にする。
・誤りを追及しないで分かられない様に話題を変える。
・相手の目を見つめて、落ち着いて静かに話かける。
以上の事を念頭において介護すると症状の進行を遅らせる事が出来る場合もあります。
認知症の症状を緩和する治療法
認知症を完治させる治療法はいまのところありませんが、症状の進行を抑制し緩和させ問題行動を軽減する事は可能です。患者さんの病状を理解して存在を認めてあげ、周囲の心地よい環境を整え満足感を与え、日常生活で安心出来る環境にしてあげる事です。
回想療法
老人は、新しい事柄は忘れてしまいますが、昔の記憶は覚えていますので昔の話を聞いてあげる様にすると自分の存在を認めてもらえた満足感で情緒が安定します。
化粧療法
若く美しくありたい願望は、特に女性には年齢に関係なくあります。化粧により美しくきれいな姿は心の満足感が得られ情緒を安定にさせます。
音楽療法
聞いて気持ちよい音色や、自分の若い頃に聴いた音楽は心地よく、昔を思い出させ精神を安定にさせます。
遊技療法
楽しみながら体を動かすのは、脳や手足の働きをたかめるリハビリにもなります。
ペット療法
犬や猫に触れたり、動いたりする反応を見たりする事が機能回復や情緒を安定にさせます。
創作療法
字や絵を描いたり、手芸、折り紙をする事等自己表現する事により心の満足感が得られます。
園芸療法
外に出て、新鮮な空気を吸い、日光に当たり、草花を手入れ育てる事は気分転換にもなり、生きがいを感じ情緒を安定にする効果があります。
※上記の事柄を生活に取り入れれば生活の質が向上して老化防止の作用のある脳内物質のβエンドロフィンの分泌が高められます。
認知症予防の生活習慣
| ◎ |
適度の運動や歩行を心がけると脳の血流増加、ストレス解消や肥満、生活習慣病の予防にもなります。 |
| ◎ |
生活習慣病にならない様、日常生活での節制を心がける。 |
| ◎ |
栄養のバランスの良い食事を摂るように心がける。
三食は抜かないで、ゆっくり食べ腹八分目を心がけるとよい。
糖質、動物性脂肪、塩分を控え、乳製品、大豆加工食品、小魚、青魚、野菜、果物、海草などを多く食べるようにする。 |
| ◎ |
禁煙を心がけ、過度の飲酒を控える。 |
| ◎ |
ストレスを貯めないで、気分転換を心がける。 |
| ◎ |
読書、手芸、趣味などに興じ、知的生活習慣や好奇心、向上心を持ち積極的に多くの人と接する様にする。 |
| ◎ |
身の回りの事で自分で出来る事は積極的にする。 |
| ◎ |
家にこもらないで積極的に外出する。 |
| ◎ |
生きがいと緊張感を持ち日々を過ごす。 |
認知症に用いる西洋薬
塩酸ドネペジル
脳の神経が記憶したり考えたりするのに必要な神経伝達物質のアセチルコリンがアルツハイマー病では減少するので、アセチルコリン分解酵素の働きを抑制し量を増やして症状を改善しますが、根本からの治療薬ではありません。
※死なずに残っている脳細胞を活性化させるにとどまり、神経細胞の死滅を防いだり、脳萎縮のスピードを遅くする効果は期待できません。
塩酸メマンチン
中等度〜重度のアルツハイマー型認知症の改善薬。アメリカやヨーロッパで使用されていますが、日本ではまだ承認されていません。
対症療法薬
脳血流改善薬、脳梗塞予防薬、鎮静剤、睡眠導入剤、抗ウツ薬、抗テンカン薬など症状を緩和させる目的で用います。
認知症に用いる漢方薬
認知症の症状である、妄想、徘徊、暴力抑制、幻覚、切迫感、焦燥感、興奮、昼夜逆転、暴言、・・・・などが漢方薬でかなりの症状が改善される事がありますので、ぜひ服用をお薦めします。
老化による脳細胞の萎縮、脳の血流を促し脳血管障害の進行を改善し遅らせ、自律神経の働きを安定にして、ホルモンの分泌を高め、全身症状や情緒を安定させて異常行動を改善する働きが期待できます。
なお症状が出る前に予防的に漢方薬を服用なさり、健康で充実した生活を送って頂く事が漢方薬の本来の目的と云えるでしょう。
主に用いられる生薬は
当帰 川芎 白朮 茯苓 柴胡 甘草 陳皮 地黄 沢瀉 半夏 山薬 桂枝 竹筎 枳実 人参 黄連 玄参 遠志 大棗 黄柏 芍薬 黄芩 黄耆 乾姜 升麻 附子 釣藤鈎 山茱萸 牡丹皮 山梔子 五味子 麦門冬 酸棗仁 羚羊角 沈香 銀杏葉
などの薬草を組み合わせて用います。
これらの生薬は単独で効果を発揮するものではなく漢方薬の理論によって3〜10種余の組み合わせにより用いられます。
使用方法は病名で処方を決めるのでなく、体力、体質、病気の進行具合、症状などにより東洋医学的な診断で処方が決められます。素人判断で漢方処方を服用する事は効果が期待できないばかりか、副作用が起きる場合もありますので、漢方薬の診断に精通した専門の薬剤師に相談したうえで服用なさる事を御勧め致します。
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